口腔機能低下症とは?
「食べ物がかみにくくなった」「口が乾く」「飲み物でむせることが増えた」などの変化は、口腔機能低下症のサインかもしれません。口の機能は、栄養をとることだけでなく、会話や人との交流、全身の健康にも深く関わっています。早めに気づいて適切な管理を始めることが、将来のお口と全身の健康を守る第一歩です。
「自分は大丈夫」と思っていても、実はお口の機能は低下しているかも
お口の機能は少しずつ低下するため、本人が変化に気づきにくいことがあります。まだ普通に食事ができていて、「自分は大丈夫」「年齢のせいだから仕方がない」と思っていても、複数の機能を詳しく調べると低下が見つかることは珍しくありません。厚生労働科学研究の報告では、地域で生活する高齢者のうち、検査で評価できた1,611人の48.5%が口腔機能低下症に該当しました。およそ2人に1人にあたる割合で、85歳以上では70%を超えています。ただし、この割合は研究対象や診断基準によって異なり、すべての年代にそのまま当てはまる数字ではありません。自覚症状がなくても、定期的に歯科医院で口の機能を確認することが大切です。
口腔機能低下症とは
口腔機能低下症とは、加齢だけでなく、病気や障害、歯の喪失、合わない入れ歯、薬の副作用など、さまざまな要因によって、噛む・飲み込む・話すといった口の機能が複合的に低下した状態です。そのまま放置すると、食べられる物が偏って低栄養を招き、全身のフレイルやサルコペニアを進めるなど、全身の健康に影響する可能性があります。
口腔機能低下症の主なサイン
- 口の中が乾きやすい
- 食べ物がかみにくい、食事に時間がかかる
- 食べこぼしや、飲み物でむせることが増えた
- 滑舌が悪くなった、言葉を発音しにくい
- 舌が動かしにくい、飲み込みにくい
- 口の汚れや舌の汚れが目立つ
このサインの中で当てはまるものがある場合は、自己判断で様子を見続けず、かかりつけの歯科医院に相談しましょう。
歯科医院で行う7つの検査
口腔機能低下症は、自覚症状だけでなく、歯科医院で口の状態と働きを7項目にわけて検査し診断をします
- 口腔衛生状態:舌の汚れなどから清潔度を確認します。
- 口腔乾燥:口の中の水分量や唾液量を調べます。
- 咬合力:かむ力や残っている歯の数を確認します。
- 舌口唇運動機能:舌や口唇の動き、発音の速さを調べます。
- 舌圧:舌で上あごに押しつぶす力を測ります。
- 咀嚼機能:食べ物を細かくかみ砕く力を調べます。
- 嚥下機能:飲み込む力を質問票などで確認します。
この7項目のうち3項目以上に低下が認められた場合、口腔機能低下症と診断されます。自己判断では診断できないため、気になる症状がある場合は歯科医院で相談しましょう。
オーラルフレイルとの違い
オーラルフレイルは、食べこぼしや滑舌の低下など、口のささいな衰えに早く気づくための考え方です。一方、口腔機能低下症は、歯科医院での検査結果に基づいて診断される病気です。両者は重なる部分があり、オーラルフレイルのサインに気づいたら、口腔機能低下症の可能性かもしれないため、検査をうけることが大切です。
改善・予防のためにできること
- 歯みがきや舌のケア、入れ歯の手入れで口の中を清潔にする
- むし歯や歯周病を治療し、かみ合わせや入れ歯を整える
- 「パ・タ・カ・ラ」の発音練習や舌回しなどで舌や口唇を動かす
- よくかんで、食事をとる
- 定期的に歯科検診と口腔機能の評価を受け、個々にあったトレーニングの提案をもらう
必要な対策は、低下している機能や全身の状態によって異なります。歯科医師や歯科衛生士の指導を受け、無理なく継続できる方法を選びましょう。
こんなときは早めに相談を
むせや飲み込みにくさが続く、食事量や体重が減ってきた、食事に長い時間がかかる、口の乾燥が強いといった場合は、早めにかかりつけの歯科医院へ相談してください。急に飲み込めなくなった、強い息苦しさがある場合は、速やかに医療機関へ相談しましょう。
まとめ
口腔機能低下症は、早めに検査し、一人ひとりに合った管理を続けることで、口の機能の維持や回復が期待できます。食べること、話すこと、笑うことを長く楽しみ、将来、要介護にならず自立した生活を続けるためにも、口の小さな変化を見逃さず、定期的に歯科医院で確認してもらいましょう。
口腔機能低下症の検査・診断を受けられるのは、50歳を過ぎてからになります。





