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「 噛む・飲み込む・話す力を守るために知っておきたいこと」
口腔機能低下症とは? 原因・症状・検査方法・予防法をわかりやすく解説。早期発見で健康寿命を延ばしましょう。
口腔機能低下症とは (50歳以上の方対象)
定義:加齢・疾患・障害・生活習慣など、様々な要因によって、噛む・飲み込む・話すなどの口腔機能が全体的に衰えた状態のことをいいます。
◎チェックポイント
• かたい物が食べにくくなった
• 食事中に、時々むせるようになった
• 口の中が乾くようになった
• 薬が飲みにくくなった
• 滑舌が悪くなった
• 食事に時間がかかるようになった
• 食べこぼしをするようになった
• 口の中に食べ物が残るようになった
以上のうち、いずれかに当てはまる方はオーラルフレイル(口腔機能の虚弱)である可能性があります。
口腔機能の低下により、誤嚥性肺炎等のリスクが高くなります。
早めに検査、診断を得て、口腔リハビリを早急に介入させてもらうこと口腔機能の低下を遅らせたり、予防につながります。
検査・診断方法 (当院では口腔機能低下症の検査ができます。)
1. オーラルディアドコキネシス(ODK):「パ・タ・カ」を10秒間で何回言えるか測
定。
2. 咀嚼機能検査:グミゼリーを30秒間噛み、破砕度を判定。
3. 舌圧測定:舌でプローブを押し上げ、最大舌圧を測定。
4. 口腔衛生状態の判定
5. 口腔乾燥の検査
6. 咬合力低下の検査
7. 嚥下機能低下の検査
以上のうち、咬合力低下、低舌圧、咀嚼機能低下から1つおよび7項目から3つ当てはまった場合、口腔機能低下症と診断されます。
予防とリハビリテーション
歯科医院でのアプローチ
診断結果を元に、個々に合わせたお口のリハビリテーションを提案し、指導致します。
むし歯や歯周病等で、噛む機能が低下している場合は、口腔リハビリテーションと並行
して、詰め物、被せ物、入れ歯、インプラント等の治療を行います。
口腔リハビリテーション
• あいうべ体操
• パタカラ体操
• ボタンプル
• MFT(口腔筋機能療法):舌の正しい位置を覚え、嚥下・発音を改善
• 義歯・補綴の調整:噛み合わせを整え、咀嚼効率を向上
• 口腔乾燥対策:唾液腺マッサージや保湿ジェル提案 など。
口腔機能不全症とは (0歳から15歳までのお子さま対象)
定義:子どもを中心に見られる食べる、呼吸をする、話すなどの口腔機能が正しく発達できていないことです。
お口ポカン、舌癖、口呼吸、正しい飲み込みができない、発音障害など特定の口腔周囲の筋肉の機能が十分に働かない状態です。
現代のお子様は5人に4人は、口腔機能の成長に問題があると言われています。
◎主な症状
• 舌で前歯を押す「舌突出癖」
• ぽかんと口を開けている(お口の半開き)
• サ行・タ行・ラ行・カ行・マ行が発音しにくい
• 歯並びの乱れ(開咬・出っ歯・受け口・部分的な反対咬合・ガタガタ歯並びなど)
• 歯ぎしり・いびき
• 悪い姿勢
• 表情が乏しい・疲れているように見える顔立ち・二重顎・唇を閉じた時に顎に梅干
しのようなシワができるなど
• アレルギー体質・日常的な鼻づまり・風邪をひきやすいなど
成長期に放置すると、
上手に食べられない、発音が不明類、表情が乏しくなる、睡眠不足、
集中力の低下、ウイルスをもらいやすい体質、歯並びやあごの成長など、全身に影響が
でてしまいます。早期に発見し、口腔機能訓練等で改善してあげることが大切です。
検査・診断方法 (当院では口腔機能不全症の検査ができます。)
1.口唇閉鎖力検査:リットレメーターという検査器を使用して口唇の筋力を測定します。
2.舌圧検査:舌圧測定器を使用して、舌で押しつぶす力を測定します。
3.視診・問診
以上の検査等で口腔機能低下症であるか診断されます。
ハビリテーション(機能を発達させる訓練)
歯科医院でのアプローチ
診断結果を元に、個々のお子さまに合わせたお口のハビリテーションを提案し、指導致
します。
口腔ハビリテーション
• MFT(口腔筋機能訓練):呼吸の訓練・舌の正しい位置の指導・正しい飲み込み訓練・口唇閉鎖訓練を行います。
• 姿勢の改善
• 食事の改善 など
共通の原因とリスク因子
原因 | 口腔機能低下症 | 口腔機能不全症 |
加齢 | ★★★ | ★ |
不十分な咀嚼・嚥下筋トレ | ★★★ | ★★★ |
柔らかい食事中心の生活 | ★★ | ★★★ |
口呼吸・鼻炎 | ★ | ★★★ |
不適合な義歯・虫歯の放置 | ★★★ | ★★★ |
スマホ・ゲームによるうつむき姿勢 | ★ | ★★★ |
どちらの疾患も「お口の周りの筋肉が正しく使われない生活習慣」が背景にあり、年齢
を問わず注意が必要です。そして、早期の発見、治療の介入を必要とします。
当院でのサポート体制
• 気道が診られるCT・口腔機能測定装置を用いた精密診断
• 研修を受けている歯科医師、歯科衛生士、スタッフが対応。
よくある質問
Q | A |
何歳から検査できますか? | 4~5歳の小児から高齢者まで対応可能です。意思疎通が通れば可能です。 |
健康保険は使えますか? | 機能検査やリハビリの一部は保険適用です。詳細はご相談ください。 |
症状がなくても受診すべき? | 自覚がなくても機能は低下します。年に数回のチェックを推奨します。 |
まとめ・院長からのメッセージ
口腔機能は「食べる・話す・呼吸をする」人生の質そのもの。当院は早期発見と継続サポートで、患者さんの健康寿命およびお口の発達を守ります。気になる症状があればお気軽にご相談ください。